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2025.04.03 THU

Vol.7 【名作椅子体験コラム part2】 美しさと座り心地の良さ –職人技に惹き込まれるYチェアの魅力-

Vol.7 【名作椅子体験コラム part2】 美しさと座り心地の良さ –職人技に惹き込まれるYチェアの魅力-

幅田 舞

元幼稚園教諭。森のようちえんに魅了され、語学習得の為カナダで英語を学んだのちに発祥の地と言われるデンマークへ。
北欧特有の人生の学校と言われる「フォルケホイスコーレ」に5ヶ月間滞在した後、縁あって現地のファミリーと暮らしデンマークの文化の本質に触れる。
2年間本場の森のようちえんでボランティアを経験し、帰国後は田舎暮らしに憧れて鳥取へ移住。
地域おこし協力隊として3年間町おこしに従事。
鳥取で結婚・出産し現在は2児の母。子育て・田舎暮らし・趣味・仕事どれも愉しむべく奮闘中。

デンマークの名作椅子と暮らす

前回から3回に渡って連載している北欧デザインの名作椅子体験コラム。第2回目は前回と同じくデンマーク人デザイナーであるハンス J. ウェグナーが1950年にデザインした「CH24」を暮らしに取り入れてみました。

「座り心地の良い椅子って何だろう?」「椅子が違うことで、暮らしにどんな変化があるんだろう?」。そんな疑問に、家具の専門家ではない立場から、実際に使ってみて感じた実用性や座り心地、暮らしに取り入れた際の変化などについて、素直に綴っています。

今回は、私自身がデンマーク滞在中に体験した椅子の思い出や、デンマーク人にとっての椅子や家具の魅力についても少し織り交ぜたお話になっています。

ご自身の暮らしと重ね合わせたり、想像したりしながら楽しんで読んでみてくださいね。

時を超えて愛される名作椅子の魅力を探る

1949年にハンス J. ウェグナーによってデザインされた「CH24」。背もたれのY字が特徴的なことから日本では「Yチェア」と呼ばれ、70年以上に渡り長く人々を魅了し続けています。

今回我が家にお迎えしたYチェアは、ビーチ素材/水性ラッカー仕上げのアンスラサイトグレーというカラー。主に使用したのは自宅での仕事中ですが、今回は子どもが食事の時に座ったり、ウッドデッキに出してくつろいでみたりもしました。セブンチェアとはまた違ったYチェアの特徴や、その魅力に迫ります。

Yチェアが生み出す くつろぎと優しさに満ちた暮らし

優しい座り心地の「ペーパーコード」

「Yチェア」を見た時に一番に目が行くのは、その特徴的な座面ではないでしょうか。“ペーパーコード”と呼ばれるこの座面は、簡単に説明すると「樹脂を含ませて拠った紙紐」のことだそうです。実は私にとって、このペーパーコードの椅子との初めての出会いは、10年ほど前に滞在していたデンマークの学校でした。それまで日本ではあまり目にしたことのなかった素材や見た目で、とても印象的だったのを覚えています。

−滞在していたフォルケホイスコーレの食堂の椅子−

今回我が家にYチェアを迎えて、数年越しに再会したペーパーコードの椅子。見た目は柔らかな雰囲気ですが、しっかりと強さがある座面と程よくしなってくれる感覚に「そうそう、とても座り心地に安心感がある椅子だった」と当時の記憶が蘇りました。

Yチェアをしばらく使ってみてまず感じたことは、その素材のおかげか、寒い時期でもお尻が冷えないこと。また、布製の座面ほどではないですが、板ではなく網目でお尻を受け止めてくれることで、長時間座っても苦になることはありませんでした。

安心感で包み込んでくれる「アームレスト」

日々の食事や仕事をする時に座っていたYチェア。個人的なお気に入りポイントのひとつは、体を包み込んでくれるようなアームレスト(肘置き)です。パソコン作業中は肘を乗せれば腕を支えてくれて楽ですし、仕事の合間に一息つくときや、夜中に主人とお茶をしながらくつろぐ時などは、深く背もたれに寄りかかりながら、このアームレストに肘を置くと気分は一気にリラックスモードに。

座面が広いので、少し行儀が悪いかもしれませんが、足を座面に乗せたり、からだを傾けてアームレストに寄りかかったりと、いろんな体勢をも受け止めてくれるんです。

また、このアームレストがあることで安心だったのが、子どもが座った時。横からの転倒を心配することなく見守れるので小さなお子さんがいる家庭でも、比較的安心して取り入れられるのではないでしょうか。

知っておきたい「扱いやすさ」と考えておきたい「スペース」

座り心地や見た目も大事ですが、扱いやすさも知っておきたいポイントですよね。

特に手が触れることが多いアームレストは、サッと拭けば汚れが取れ、お手入れが簡単。また、汚れの染み込みなどを心配していたペーパーコードの座面も、樹脂のコーティングで水分を弾きやすいようで、思ったよりも扱いやすさを感じました。

それでも、特に子どもが座る時などは、クッションなどを敷いておくと、網目に細かいゴミが詰まったりすることも防ぎやすいと思います。

前回のセブンチェアもその軽さに驚きましたが、Yチェアは座面以外全て木製なのでより軽量。背もたれのY字部分を掴めば、持ち運びもしやすく、お掃除の際も軽々移動できます。

扱いやすさという点で気づいたことは、Yチェアはスペースが必要だという事。例えば前回のセブンチェアのようにアームレストがない椅子は、使わない時にテーブルに寄せやすくスペースを確保しやすいですが、Yチェアはアームレストがあるため、寄せられる距離が限られます。扱いやすさだけではなく暮らしの動線も含めて、使う場所を想像してみるといいかもしれません。

使うほどに魅了される 美しさと実用性

第一印象は「かわいいフォルムだな」くらいにしか思っていなかったYチェア。実際暮らしに取り入れてみると、その美しさにすっかり虜になりました。よく見て触れてみると、どのパーツも本当に滑らかで、美しい曲線なんです。それは「椅子」というより「芸術作品」に触れているような感覚。

実は使い始めてすぐの頃、全体的に丸みを帯びたパーツの中、背もたれの部分だけが平らなことを少し不思議に思っていたんです。でもその後すぐに、からだを囲むアームレストが背中の部分だけ平らになっていることにも気づき、背もたれだからこそのデザインなのだとハッとしたのです。

無駄がないのにオシャレで、座り心地や実用性がとことん追求されている職人技に心を動かされました。

デンマーク人の知り合いによると、多くのデンマーク人が自国のデザインの椅子や家具を好んで家に置いているそうです。それは、家具職人の技術や美的感覚を誇りに思っているからだと思うと話していました。日々の暮らしに欠かせないものだからこそ、質が高く、美しく、そして誇れるものを選ぶというのは、とても素敵ですよね。

「暮らしの道具でありながら、芸術作品でもある」そんな風に椅子選びをすると、日々の暮らしも、より豊かで味わい深いものになっていきそうです。

椅子が変われば暮らしも変わる

個人的には美しい見た目に加え、アームレストがあることの心地よさや、ペーパーコードならではの座面の柔らかさがとても気に入ったYチェア。

前回のセブンチェアと今回のYチェア、2つの椅子を座り比べることで、「椅子」が変わることでこんなにも違いを感じることに驚きました。また、椅子を選ぶということは、見た目や座り心地だけでなく、座るシチュエーションや暮らしの動線を考えることも大きなポイントになるんだなということも実感したんです。

実用性、座り心地、置く場所、デザイン…。さまざまな角度から暮らしを想像しながら、お気に入りの一脚を選ぶ時間も楽しみたいですね。

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fremtiden

「Fremtiden」はデンマーク語で
「未来へ」を意味する言葉。
私たちの決意と願いを込めて名付けました。

携わるすべての人たちが心豊かに過ごすために
「過去〜今〜未来」への道のりを
美しいところも、今起きている課題も
すべて正直に、皆等しく伝えます。

お店を通して、育てる人、作る人、使う人
みな理解し合い
ものにまつわるすべてを、
大切に丁寧に愛着をもって作り
使い、育て、次の世代へ
繋げていくことを願っています。

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