コンテンツ・テキストデザイナー 安達 剛士
1982年、鳥取県生まれ。
北欧インテリアショップに10年以上勤務し、鳥取、東京で約8年間店長を経験。北欧の暮らしにある本質的な豊かさに魅了され、自分らしさを楽しめる暮らし、コーディネートを多数手掛けた。
2022年より故郷の鳥取に戻り有限会社フォーリア・インテリア事業部を設立。インテリアコーディネーター資格を持ち、空間ディレクションの他、暮らしを楽しむ発信を行うなど広くインテリアに携わる。
2児の父でありながら、子どものように好奇心旺盛なインテリア愛好家。
「色彩感覚」、「心理」、独自の感性をもとにつくる空間
色彩と人の感情における関係性について、パントンはこのように語っています。
「空間を作るときの色彩計画は非常に重要です。赤が赤、青が青であるというだけでは十分ではありません。私はいつも、スペクトルの中で隣り合う色彩群のいくつかをひとつの空間に織り交ぜて使います。そうすることで空間の色温度を自在にコントロールし、独自の世界観を作り出すことができます。」
デンマークデザインの異端児とも評される彼の作品は、独特の感性と、裏打ちされた理論によって生み出されていることが窺えます。
強力なパートナーとの出会い
妥協なきパントンチェアの開発
“パントンチェア”は、個性的なカラーリングを纏い、世の中にセンセーショナルなインパクトを与えました。ただ、パントンチェアが目指していたのは、あくまでも一般の人々が座るチェアです。そのためには強度だけでなく、コストも重要です。当時の技術ではまだまだ量産化への道のりは遠いものでした。
そこから長年かけて、素材、製造方法の改良を図り続けた結果、ついに念願の量産化が可能となりました。しかし事態は一転、新たに採用したポリスチレン素材において経年劣化や耐候性の低さなどの問題が判明し、1979年に一旦製造中止という決断を下さざるを得なくなります。
パントンチェア量産化への道
最初の発表から30年が過ぎた1999年、ポリプロピレン素材の導入によって、ついに手頃な価格での量産化を実現します。量産化は、前年に世を去ったヴァ―ナー・パントンにとっての生涯の目標のひとつでもありました。
パントンチェア 素材の変遷
1967年/ ガラス強化繊維(FRP)
1968年〜1971年/ 硬質ポリウレタン素材
1971年〜1979年/ ポリスチレン素材
1983年〜1999年/ 硬質ポリウレタン素材へ戻す
1999年~/ ポリプロピレン素材導入
全てのはじまりについて、生前のパントンはこう語っています。
参考:
・Vitra / 色に溢れた新世界
・Vitra / Panton Fantasy Landscape -ヴィトラ ショートストーリー
https://www.vitra.com/en-gb/magazine/details/panton-fantasy-landscape
・Vitra /「パントンチェア」誕生のストーリー マリアンネ・パントンへのインタビュー
https://www.vitra.com/en-gb/magazine/details/please-have-a-seat
・Vitra / パントンチェア -ただ一人、信じる人がいれば道は開かれる