幅田 舞
元幼稚園教諭。森のようちえんに魅了され、語学習得の為カナダで英語を学んだのちに発祥の地と言われるデンマークへ。
北欧特有の人生の学校と言われる「フォルケホイスコーレ」に5ヶ月間滞在した後、縁あって現地のファミリーと暮らしデンマークの文化の本質に触れる。
2年間本場の森のようちえんでボランティアを経験し、帰国後は田舎暮らしに憧れて鳥取へ移住。
地域おこし協力隊として3年間町おこしに従事。
鳥取で結婚・出産し現在は2児の母。子育て・田舎暮らし・趣味・仕事どれも愉しむべく奮闘中。
暮らしに合った椅子選びとは?
食事の時間や仕事をする時間、団欒する時間……よく考えると、現代の暮らしの中で、意外と多くの時間を過ごしている—椅子—。人生の中で「椅子を迎えること」ってそう多くはないかもしれません。だからこそ、デザイン性だけでなく、使いやすさや座り心地の良いものを迎えたいですよね。
でも、「座り心地の良い椅子って何だろう?」「椅子が違うことで、暮らしにどんな変化があるんだろう?」そう感じる方も多いはず。そこで、今回から3回に渡って、デンマークデザインの3つの椅子「セブンチェア」「CH24/Yチェア」「J39」を実際に使用した体験談をご紹介していきます。
家具の専門家ではない人の意見として、使ってみて感じた実用性や座り心地、暮らしに取り入れた際の変化について、素直に綴っています。椅子選びの参考に、ぜひ読んでみてください。
目次
デンマークの名作チェアを日常に
名作椅子体験コラムの第1回目は、デンマーク人デザイナーのアルネ・ヤコブセンによって1955年にデザインされた「セブンチェア」。計算してみると、デザインされてから今年でなんと69年にもなります。時代や流行りが変化しても、今もなお販売され、求められている椅子には、どんな魅力が詰まっているのでしょうか。
豊富なカラーバリエーションの中から今回選んだのは、ペールローズという淡いピンクの座面と、ウォームグラファイトの脚の組み合わせです。我が家で活躍したのは、在宅での仕事中や、台所の一角でお料理をしながらリラックスする時などでした。冬の寒い時期は、座面の素材によってはちょっとお尻が冷えるので、チェアパッドを敷いて座っています。
毎日の暮らしをちょっと「楽」にしてくれる セブンチェアの実用性
椅子1つで空間の印象が変わるインテリア。座り心地も気になるけれど、見た目や存在感、暮らしにどう馴染んでくれるかも大事ですよね。実際に使ってみて感じたのは「軽さ」「薄さ」「色」の3つの魅力でした。
ストレスフリーな「軽さ」
初めてセブンチェアを手にした時に驚いたのは、その軽さです。セブンチェアをご存知の方は、すでに知っている特徴かもしれませんが、3歳の子どもでもスッと持ち上げられるくらい。座った時に椅子を引き寄せたり、立つ時に後ろに下げたりする動きがとてもスムーズで、ストレスがありません。
「軽さ」の良さが際立ったのは掃除の時。片手でサッと椅子を浮かせて掃除ができるんです。脚が細いので、脚の裏にひっかかるゴミや埃もほとんど気になりません。我が家で普段使っている椅子は重たくて、毎回掃除機を一旦置いて、椅子を動かしてから掃除していました。それまで当然のようにやっていたけれど、椅子の軽さで家事の負担が軽くなるとは、思ってもみなかった嬉しい驚きです。
生活空間を邪魔しない「シンプルさ」
一般的な椅子は、座面、背もたれ、骨組みが組み合わさってできていることが多いと思います。その分、厚みが出るのは当然のこと。一方でセブンチェアは、座面から背もたれまでが一枚の板を丸めたような形になっていて、とにかくシンプルで薄いのが特徴です。(実際には9層の薄い板を重ねてつくられている構造(=成形合板))
そのおかげで「家が少し広くなったかも?」と感じるほど空間がスッキリ見えます。我が家のキッチンはあまり広くないですが、動線を邪魔することなく、使う場所を選ばないのは大きな魅力だなと感じました。
気持ちを明るくしてくれるポップな「色」
今回使い心地を試した淡いピンクは、実は我が家では普段あまり取り入れない色。でも、セブンチェアはカラーバリエーションがたくさんあるので「せっかくなら」と思い切って挑戦してみました。実際に取り入れてみると、とっても可愛い!
どんより雲の多い山陰の冬ですが、暮らしの中でふと目に入る鮮やかな色のセブンチェアは、ちょっと落ち込みがちな気持ちも明るくしてくれます。シンプルな色は選びやすいですが、思い切ってポップなカラーを選ぶと、暮らしがちょっと変わるかもしれません。
からだに絶妙にフィットする セブンチェアの座り心地
やっぱり気になるのはセブンチェアの座り心地ですよね。
初めて座ってみて驚いたのは、想像していたよりも、座面も背もたれも広くて丸いということでした。一見平らに見える座面ですが、実はお尻に向けて緩やかなカーブになっていて、からだをすっぽり包んでくれます。
背もたれには背骨に沿ったカーブがあり、もたれ掛かると程よくしなるんです!座った瞬間にからだがフィットして、背筋が伸びる気がしました。普段は物静かな夫が、初めて座った瞬間「おぉ!この椅子すごくいいね!」と興奮していたほどです。程良い高さと広さ、しなりのある背もたれのおかげで、リラックスしたい時は特に、からだを委ねられる安心感があります。
カクカクとした感じが一切なく、姿勢を保てる、絶妙なデザイン。からだの丸みにピタッとハマる感覚は、なんともいえない座り心地の良さでした。
「座る」の先にある「暮らし」をもデザインされたかのような魅力
正直、今まで特にこだわったこともなかった椅子。座ったり、動かしたり、眺めたり…セブンチェアを使う中で、椅子はとても奥深い「暮らしの道具」なんだと気づきました。
実は先ほど書いた以外にも、セブンチェアを使っていて、ハッと気づいた小さなお気に入りポイントがあります。それは「荷物を置いても落ちないこと」。考えてみると椅子って荷物を置くのにもよく使うんです。でも、背もたれに隙間があるデザインの椅子って意外と多くて、鞄や袋の形によっては荷物がその隙間から落ちてしまいます。我が家でも卵を買った日は、椅子に荷物を置く時いつもちょっと気を配っていました。
シンプルさが際立つセブンチェアは、座り心地もさることながら、実は日々の暮らしの中の小さな動きまで計算し尽くされているのかもしれない、と思うほどの使い心地。
椅子を持ち運んで使うことが多い方や、シンプルで飽きのこないデザインを探している方にはぴったりかもしれません。
fremtidenでは、椅子の購入前に、実際に使い心地を試せる貸出サービスを実施していますので、気になる方はまず試してみるという選択肢もありますよ。(※貸出サービスは、福岡周辺の地域に限ります。)